『バイクの旅』と考えたとき、どんな旅を想像するだろうか。
私が昔想像していたのは、まさに山田深夜さんのような旅だったと思う。
「旅行」とは正反対の「さすらいの旅」。
今、考えてみれば『バイクの旅』と一言で言っても人の数だけ、いろいろな旅の仕方があるのだが。
『千マイルブルース』は旅心を燃えさせるような本ではない。
しかし、寒い中ジッポの火で暖を取っているような小さな火が、なかなか消えずにじわじわ旅心をくすぐる。
そんな本だと思う。
4年前、まだ大学生だったころ大阪モーターサイクルショーで山田深夜さん(本物)にお会いしたことがあります。
そのときは、アウトライダーが復活したときで、昔のアウトライダーとかは読んだことがなかったので、山田深夜さんのことをまったく知らなかったのですが。
自費出版(?)の『キャベツのはらわた』を売ってはって、手書き文字の短編小冊子で面白そうだったので買ってみたら、サインと握手をしてくれました。
(今考えるとすごいことだ)
家に帰って読んでみると、なんだかおもしろい。
“琴線に触れる”という感じ。
じんわり心が温かくなる。
見た目あんなに怖そうな人(すいません)が書いてるのに、心の奥で小さなやさしい火を灯して旅心をくすぐる。
引越しのときにどこかに紛れてしまいそうな小冊子なのに、今もちゃんと本棚に並んでいるのは、そんな暖かさが忘れられないからだろう。
そんな山田深夜さんの短編集が本になると知ったとき、
迷わず「買おう!」と思った。
バイクものである『千マイルブルース』はもちろん、バイク旅関係じゃない短編集『横須賀Dブルース』もおすすめ。
…こんなん書いてたら、また読み返したくなってしまった。
寝る前にちょこっと読もうかな。
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